土地の相続や売却の手続きを進めようと法務局で資料を取ってみたものの、「似たような図面がいくつかあって、どれを信じればいいのかわからない……」と困ってしまう方は少なくありません。特に「公図(こうず)」と「地積測量図(ちせきそくりょうず)」は、どちらも土地の形が描かれているため、混同されやすい資料です。

しかし、この2つには決定的な違いがあります。もし違いを正しく理解しないまま手続きを進めてしまうと、後になって「隣の家との境界線がずれていた」「実際の面積が図面より狭かった」といったトラブルに発展しかねません。

今回は、八王子・多摩エリアで多くの不動産取引をお手伝いしてきたセンチュリー21ココカラが、公図と地積測量図の違いを初心者の方にもわかりやすく丁寧に紐解いていきます。

なぜ「公図」と「地積測量図」の2つを確認する必要があるのか?

そもそも、なぜ土地の図面が1つに統一されていないのでしょうか。それは、それぞれの図面が作られた「目的」と「時代背景」が違うからです。

たとえば、「八王子の実家を相続することになり、古い権利証の束を確認していたら、手書きのような古い図面と、数字が細かく書かれた新しい図面が出てきた」というケースを想像してみてください。この場合、古い方が「公図」、新しい方が「地積測量図」である可能性が高いです。

公図は「土地の並び順やおおよその形」を把握するためのインデックスのような役割を持ち、地積測量図は「その土地が正確にどれくらいの広さで、どこに境界があるか」を証明するための詳細なデータという役割を持っています。この役割の違いを知ることが、スムーズな不動産取引の第一歩となります。

基礎知識:公図と地積測量図の役割と仕組み

それでは、それぞれの図面がどのようなものなのか、具体的に見ていきましょう。

H3:公図(こうず)とは?

公図は、一言で言えば「土地の地図の代わり」として法務局に備え付けられている図面です。

実は、日本の公図の多くは明治時代の「地租改正(ちそかいせい)」という税制改革の際に作られた図面が元になっています。当時は現代のような精密な測量技術がなかったため、村の人たちが縄などを使って測った「縄伸び(実際の面積より広く測る)」や「縄縮み(狭く測る)」がそのまま反映されていることが珍しくありません。

そのため、公図は「隣にどの地番の土地があるか」「土地がどんな並びになっているか」を確認するには便利ですが、「図面上の長さや面積が正確である」とは言い切れないのが特徴です。

H3:地積測量図(ちせきそくりょうず)とは?

一方で地積測量図は、土地家屋調査士などの専門家が精密な機器を使って測量し、その結果をまとめた図面です。

土地を分筆(1つの土地を複数に分けること)したり、地積更正(登記簿の面積を正しく直すこと)をしたりする際に作成され、法務局に提出されます。ここには、土地の各辺の長さや面積の計算根拠、さらには「境界標(境界を示す杭など)」の位置まで詳しく記されています。

現代の測量技術で作られた地積測量図であれば、その精度は非常に高く、境界トラブルを防ぐための最も信頼できる資料となります。

公図と地積測量図の比較表

| 項目 | 公図(地図に準ずる図面) | 地積測量図 |
| :— | :— | :— |
| 主な目的 | 土地の配置や形状の把握 | 土地の面積や境界の証明 |
| 作成時期 | 多くは明治時代が起源 | 土地の分筆や測量時 |
| 精度 | 低い(目安程度) | 高い(センチ単位) |
| 備え付け | ほぼすべての土地にある | 測量していない土地にはない |

たとえば、「多摩市にある自宅の庭に物置を建てたいけれど、隣の家との境界線がはっきりしない」という場合、公図を見ても正確な位置はわかりませんが、地積測量図があれば境界杭からの距離を正確に割り出すことができます。

実務的なポイント:ここだけはチェックしておきたい注意点

実際に土地を売ったり買ったりする場面では、以下の3つのポイントに注意が必要です。

1. 地積測量図が存在しない土地もある

公図はほぼすべての土地に存在しますが、地積測量図は「過去に測量が行われた土地」にしかありません。
たとえば、「代々受け継いできた古い地主さんの土地」などは、一度も分筆や測量が行われておらず、法務局に地積測量図が備え付けられていないケースが多々あります。この場合、売却にあたって新たに測量を行う必要が出てきます。

2. 作成時期によって精度が異なる

地積測量図があるからといって、100%安心というわけではありません。

  • 昭和40年代〜50年代の図面:現在の基準に比べると精度が低く、現況とズレがある場合があります。
  • 平成17年以降の図面:世界測地系(GPSなどを用いた世界共通の基準)で作成されており、非常に精度が高いです。

「今の家のローン残債がまだ残っており、売却代金で完済したい」と考えている方は、図面の精度によって売却可能面積が変わり、手残り金額に影響する可能性があるため注意が必要です。

3. 公図の「ズレ」は日常茶飯事

公図と実際の土地の形が全く違う「地図混乱地域」という場所も存在します。
八王子・多摩エリアでも、古い住宅街や山林に近い場所では、公図上では道があるはずなのに実際には崖だったり、隣の土地と形が入れ替わっていたりすることがあります。こうしたズレがある場合は、専門家による調査が不可欠です。

実務でのチェックリスト

  • [ ] 法務局で「公図」と「地積測量図」の両方を取得したか?
  • [ ] 地積測量図の作成年月日はいつか?(古い場合は再測量の検討が必要)
  • [ ] 図面にある「境界標」は現地に実際に存在するか?

まとめ

公図と地積測量図の違いをまとめると、「公図は土地の並びを知るための大まかな地図」であり、「地積測量図は土地の広さと境界を証明する精密な設計図」です。

不動産売買や相続において、これらの図面を正しく読み解くことは、将来のトラブルを未然に防ぐことにつながります。特に境界の問題は、一度こじれてしまうと解決までに多大な時間と費用がかかってしまいます。

「自分の土地の図面がどうなっているか不安」「売却したいけれど図面が古くて心配」という方は、ぜひ一度センチュリー21ココカラへご相談ください。八王子・多摩エリアの地域特性を熟知したスタッフが、お客様の状況に合わせた最適なアドバイスをさせていただきます。